本作は至る所でゼルダの伝説として新しいアプローチが図られています。
僕は十数年ぶりのゼルダシリーズでしたが、素直に楽しいです。
以下、ネタバレになるかもしれない要素があるかも知れませんので、ご了承の上お読みください。
実質オープンワールドの様な物です。ですが独自の世界観やグラフィックに自信があるのか任天堂はそう呼んでいるみたいです。
世界には時間と天候の概念があり、雷が落ちたり、雨で滑るようになったり……と色々細かく表現されています。
もちろん地方によっては寒さや暑さなどもあるので、そういう場所にオープンエアーと言う、世界観に対する空気感などの拘りのがあるのかなと思いました。
シリーズどころか、オープンワールドでも屈指の自由度
マップはほぼシームレスに出来ていて見える範囲はどこでも行けるようになっています。ある程度の制約と言う制限や必須な要素は出てきますが、どこでも行けると言うのはこのシリーズでは初めてで、本作には決められたルートと言う物がありません。最初にこうしてくれ、と言う大筋の目的は示されますが、無視して走り回る事も出来ます。
なんなら垂直の壁でもほとんど登れます。さすがにスタミナと言う制限や旧作で言う所のダンジョンに当たる場所では登れない場所はありますが。逆に言えば、普通のフィールドではほぼ制限なく登れるのです。
そして驚く事に本作ではチュートリアル終了後に即座にラスボスに挑む事も出来るのです。さすがにリンク自身や装備が貧弱なので厳しい戦いが待っていますけど。
他にはパラグライダーで滑空したり、ゲームを進めれば特殊なアクションも出来るようになります。
シンプルな操作性に奥深いアクション
オープンワールドかつ、パルクールが自由なアクションゲームと言えば複雑な操作が待ってそうな物ですが、操作は簡単で単純。しかし、浅いゲーム性と言う事はありません。
おなじみのZ注目、横跳び、バック宙、ジャンプ斬りはもちろんの事、本作からタイミング良く盾ではじく事で相手のレーザーを跳ね返したり武器を落とす事が出来るジャストガード、そしてこれまたタミング良く且つ正しく避ける事で発生するラッシュなどの新規要素もあります。
特にラッシュは爽快で、縦斬りを横跳び、横斬りをバック宙で回避すると発生し一方的に連続攻撃ができます。あ、もちろんゼルダと言えば回転斬りですが、こちらもしっかり存在します。
新規要素として、現実で言う所のタブレットのようなアイテムを用いて行うアクションがあり、読んで字のごとくであるリモコンバクダン、鉄性のオブジェクトを動かせるマグネキャッチ、動いてる物や魔物(魔物に関してはアイテムの強化が必要ですが)を止めれるピタロック、場所の限定がありますが自由自在に足場を作れるアイスメーカーがあります。
リモコンバクダンは冗談抜きで文字通りなので説明は割愛します。マグネキャッチは鉄製のオブジェクトを重さなどに関係なく自由自在に動かす事が出来ます。鉄製の箱を持ち上げてスイッチに置く、水中にある鉄製の宝箱を陸にあげる事が出来ます。そして、オブジェクトを動かしてぶつける事で攻撃も出来たりします。
物を止めれるピタロックは、動いているオブジェクト、魔物の動作を一定時間のみ完全に止める事が出来ます。そこに攻撃を加える事で力が溜まり、ピタロックが解除された後に物であれば勢いよく動いたり、魔物であれば一気にダメージが与えられます。
アイスメーカーはある程度の制限はありますが、氷の柱を作り出す物で、足場にするのはもちろん、基本的に壊れないと言う特性を生かして物を持ち上げたりする事が出来ます。
ダンジョンではこれらのアイテムを駆使する事が求められます。今作のダンジョンは難しいや面倒と言うよりは発想力が求められる感じでした。
そして上述した特殊アクションは複数あり、回数の限定はありますが(時間経過で回復します)どれも強力で便利な物ばかりです。
これは特殊アクションと言っていいのか微妙ですが死亡した際に復活できるミファーの祈り、あらゆる攻撃を跳ね返すダルケルの護り、その場に上昇気流を発生させるリーバルの猛り(別名、リーバルトルネード)、周囲をきわめて強力な雷で攻撃するウルボザの怒りがあります。
今までのシリーズ以上に多彩な装備
本作では武器、防具含めかなりの数の装備品があります。僕が最後にプレイしたゼルダシリーズは風のタクトですので、あまり種類や選択の余地がありませんでしたが、今作は武器と盾には耐久度が設定されており、必然的にいろんな装備を手に取る必要があります。武器のジャンルも従来の直剣だけではなく、片手武器、両手武器(その中でさらに剣、槍、斧など色々あります)と分けられていて複数の武器を持つ事が出来るので状況に合わせて好きな武器で戦えます。そしておなじみのマスターソードやハイラルの盾もありますので従来のファンも安心!
防具も実に様々で見た目で選んでも構いませんし、気候に合わせても構いません。不思議な事に女装を強制されますが(男子禁制の町に入る為)、まぁ嫌なら行かなくてもクリアは出来るので……。そこは勇者特権で何とかならなかったんだろうか。
ありそうで無かった、生活的な要素
自分の家を持つのはもちろんのこと、NPCと協力して村を作る事も出来ます。(当然ここら辺はスルーしてもいい)
自宅は結構な額のルピーを支払い、家具を揃え、武器を展示したり……どこかどうぶつの森を彷彿させる要素がありますが、気にならないのであればベッドだけ置いておくと拠点として便利に。
しかし、この生活的な要素で一番大事なのはフィールドの随所でとれる素材を用いて行う事が出来る料理です。本作では旧作に存在していた回復用のハートは存在しないので料理するか採取したものを食べて回復する必要があります。
回復は当然の事、一時的に最大体力や最大スタミナを上げたり、攻撃力や防御力を上げたり……採取して料理をすれば冒険を進めるのが楽になります。と言うかよほど操作が上手でなければ必須の要素です。ほぼ必須の要素ですがそれほど面倒臭いと感じる事がないのはなかなかに不思議でした。
何度も言ってるようにタブレットですね。オープンワールドと言う事で地図は必須になりますが、このシーカーストーンで地図を見て、行った事ある場所(祠限定ですが、町や馬宿の近くには必ず祠があるので問題になりません)にワープしたり、ちょっとゲームを進めたらウツシエと言う写真を撮る機能も解除されます。(ちなみに自撮り機能もばっちり)
後、ゲーム内でも積極的に使う事を進めてくる望遠鏡機能もあり、こちらも便利です。そのままピン立してそちらに向かう……フィールドではそれに夢中になってる事もしばしば。
作中ではこれを見る事でリンクが勇者、つまる所選ばれた勇者である事を察したりする人もいます。
さて、割とベタ褒めですが以下、僕がプレイしていて不満に思った事です。ここに関しては人それぞれの考え方や感性があると承知の上お読みください。
オープンワールド故に序盤は即死が多発する
どこにでも行けるとはありますが、武器や防具に数値が設定されてるとは言えどリンクにレベルの概念がある訳ではありません。向かう場所によっては敵の攻撃で即死する事が多く、ハートがある程度のラインあがるまではストレスをためる事になります。
ゲーム内TIPSではあまりに倒されてしまう場合は料理を活用するとよいとは出てきますがそもそも料理の素材に関してもおいそれと簡単に入手できる訳ではありませんし、アイテムのリスポーンする間隔もあって、個人的にはバランスに関しては結構大味な感覚でした。
天候や気候の仕様が面倒臭かった場面もあった
単純に暑い場所や寒い場所などで、気候にあった装備に変えると言う点まではさほど気にならなかったのですが、それによって生じる一部の制限が非常に面倒でした。
暑い、寒いではなく場所によっては居るだけで体に火がついてしまう場所があり、体に関しては装備やアイテムで誤魔化しがきくのですが、装備品……武器、盾、弓などが木製だと炎上して無くなってしまうと言う仕様があります。すぐ外したり仕舞えば問題がないのですが、序盤の内にここに行ってしまうと木製の装備がほとんど(僕がそうでした)なので、この仕様はかなり面倒でした。
じゃあ金属製の武器だけ持ってればよくない?となりそうなのですが、それはそれで問題があって、この世界の雷は金属に落ちやすい性質があり、金属製の装備品を付けていると問答無用で雷が落ちてきて大ダメージを受けます。雨にはほかに面倒な事があり、壁を上っていると滑って落ちてしまうと言う仕様もあります。積極的に壁を上って行けば楽になる本作にとってこれはストレスなだけでこれが一番面倒くさい要素でした。武器に関しては、金属製、木製とそれぞれの物に価値を持たせるためだと納得できなくはないのですが。
シリーズを代表するマスターソードが貧弱
これも結構残念でした。ガノン(ラスボス)が関係する敵に関しては特攻効果があって非常に強くなるのですが、それ以外だとそこらへんのモブが持っている武器より弱いです。
マスターソードを入手するには条件があって、それを達成するころには基本的にある程度ゲームが進んでいるので普通に進めていればマスターソードより強い装備が普通に入手できてしまうのです。
唯一の利点として武器の所持数を圧迫しない、耐久は存在するが使えなくなっても時間経過で回復する……と雑用に使う武器としてこれ以上にないぐらい便利な装備となります。
これをさすがに重くみたのかは分かりませんが、DLCで強化するミッションが配信されました。これを良しとするかは人に寄るところ。
総括
長々と色々と書きましたが、一言で言ってしまえば「楽しかった」につきます。
新しい事に取り組み、それが失敗せずゲームの遊びに繋がりユーザーを夢中にさせる事に成功しましたし、従来のファンだけでなく新しいファンを取り込む事にも成功している印象も強く受けます。
元々そうだったのか、それとも好評を受けてかは分かりませんが次回作の発表もすでに行われていますので、そちらにも自然と期待を抱いてしまう出来栄えでした。
オープンワールドと言う事でアクションや自由度ばかり注目されがちですが、本作をプレイする機会があればこれらだけでなく作品の作りこみもぜひ注目してみてください。