もはや死にゲーとして定着したソウルライクのゲーム。
本作はバンダイナムコ×シフトの旧ゴッドイーターのタッグで開発されました。
いまやソウルライクのゲームはフロムソフトウェアだけが開発している訳ではありません。仁王もおそらくソウルライク、ひいてはソウルシリーズのフォロワー作品の一つでしょう。本作もそう思っていました。
先に批判から述べてしまうと読みにくい記事になってしまうので、素直に評価できる場所から述べていきたいと思います。
【追記】
もう少し語るべき事が増えましたので改めて追記させて頂きました。これにより本作でのネタバレを大きく含む事となりますのでご了承の上お読みください。その部分に関しては未プレイの方にはなるべく配慮して末尾に追記しております。記事としては少々読みにくいのですがご理解くださればと思います。
評価点
①NPCが強く、探索中も良く喋る
と言ってもこちらは賛否両論が目立つのですが……
NPCと行動する事が前提ゆえか、居ないよりマシ程度な調整ではなく、かなり強めに調整されています。それこそ装備やスキルが揃う前にプレイヤーを食ってしまう程度には強いです。(ただし周回プレイだと足手まといという話も)
またソウルライクに付きまといがちな孤独感もなく、頻繁にしゃべる為に一人でプレイしていても寂しいと感じることもないです。フォローも優秀な事も相まってNPCが居る事によるストレスは一切感じませんでした。ただ、人に寄っては喋りすぎでうるさいと感じる方もいるようです。(こちらはアップデートで修正予定だそうです)
②育成の幅、自由度が高く一人のキャラで色んなビルドが楽しめる
本作でもいろんなステータスが画像の様に存在していますが、育成はステータスの割り振りではなくブラッドコード呼ばれる、所謂ジョブの様な物と各種スキルで差別化する事になります。ステータスを割り振る訳ではないので一人のキャラで完結させる事が可能なので気軽に色々試せるのは大きな利点だと思います。
ブラッドコードには各種ステータスだけではなく、ヘイズ(つまりお金)を消費する事で習得できるスキルが設定されています。原則としてスキルはそのブラッドコードの物しか使えませんが、スキルを習得した上で、条件を満たす事で他のブラッドコードを装備している時でもそのスキルを利用できるようになります。ゆえに、いろんなブラッドコードを触りスキルを収集する必要があるのです。それが面倒と言う方にはヘイズとアイテムを使う事でサクっと習得できますので煩わしさを感じる事はないでしょう。
ただし、スキルの習得は血英と呼ばれる記憶の欠片が必要になるのできちんと探索をする必要がある点には注意が必要です。
③キャラクタークリエイトが秀逸、そのうえでお手軽(追記)
本作ではプレイヤーの分身となる主人公はキャラクタークリエイトで好きなように作れます。キャラクリと言えば真っ先に出てくるのはPSO2ですが、あちらほど難しくなく手軽で魅力的なキャラクターを作り出せるのは大きな魅力だと思います。
④大幅に進歩したカットシーン(追記)
僕はあんまりバンダイナムコのゲームを遊ばないのでこう言うのもなんですが、この会社のゲームは3Dモデルでの表現があまり得意でないイメージが大変強かったのですが、ゴッドイーター3を機に大幅に進歩したイメージがあります。今作でだいぶブラッシュアップされたグラフィックもあってストーリーはともかくとして、映像としてはかなり映える物になっています。
と、素直に評価できる点はこれぐらいではないでしょうか。ああ、あと女性キャラが可愛いと言う点はオタク的には見過ごせないかも知れません。(好みの差あり)
どこが、とは言いませんがきちんと大小どちらのニーズにも答えてるんじゃないかなと思います。小が一人だけなのが気になる所ですが。
後は最近ですとFateシリーズで有名なスタジオ『Ufotable』が手掛けたオープニングアニメはやはりクオリティが高いです。合わせてVAMPSが手掛けたタイアップ曲の『UNDER WORLD』も作中とオープニングにばっちりマッチングしていて素晴らしい出来になっているのでぜひご覧ください。良かった、結構褒めるとこあった
批判点
さて、批判点に移って行こうかと思います。あくまで僕個人の感想や感性に寄る物ですので、絶対的ではないと言う事を踏まえた上でお読みくださればと思います。
①ステージのデザインが雑でストレスを溜めさせる事に特化している
例えばソウルライクでありがちな転落。これはアイテムに釣られて突っ込んで転落したとか、ステージの一部で戦闘中に落下してしまうと「やってしまった!」となる訳ですが、本作ではかなり早い段階でこの落下の危険性に晒され続ける事になるステージへ行く事になります。(最初の方に掲載した画像にある白い血の聖堂が該当ステージ)
恐ろしい事に、この白い血の聖堂は転落する恐れあり、狭い、入り組んでいる、無駄に広い(規模が大きい)とすべて揃えるとゲームのステージとして成り立たなくなる要素をすべて持っており、このステージから急激に強いモブが現れる事も相まって最強レベルでストレスを溜める事になります。
本作は過去の影響で建物や土地が崩壊している場所が多いと言う設定に反し、この聖堂は大体が綺麗なのですが、建築物として不自然であり得ない部分が多く、崩壊した事によってそうなったのではなくそもそもの話、元々建築物として可笑しい部分が目立つ為に余計にストレスを溜める事になります。
具体的な例を挙げれば塔の部分についている謎の足場を経由して移動する場所(ゲーム的にはともかく、建築物として付ける必要がなく存在自体が不自然)や、何故か塔を橋でつなぐ構造にも関わらず壁で封鎖されて進めなくなっている場所などが目立ちます。ちなみにこれ、白い血の聖堂と言うステージ一つの話です。怖いでしょう?
それ以外にも足場が悪い(移動速度が遅くなる)上に冥血(分かりやすく言えばMP)が減っていく足場だらけのステージ、エリア全体が燃えて居て進むだけでダメージを受ける足場と燃えている壁に寄って触れるとダメージを受けて怯むなど、プレイヤーだけが一方的に不利なシチュエーションが連続で続くためにプレイしているとストレスが爆発すると思います。満足に戦えない、満足に回避行動もとれない。これはアクションゲームなのか?と言う疑問を胸に持ち続ける事になることでしょう。
幸い僕は合間合間にグランツーリスモでガソリンと一緒に負の感情を燃やしていたのでなんとか爆発には至りませんでしたが。
モブの配置にしても狭い所で乱戦させたい、プレイヤーだけが不利な場所で戦わせたい、トラップを作ったからとりあえずプレイヤーをひっかけさせたいなど開発側の悪意が常に見え続けるのです。
②モブやボスの調整が歪でこちらもストレスを溜めさせてくる
つまりどういう事なのかと言うと高耐久、高火力、高範囲、怯まない、攻撃の動作が早いとアクションゲームの敵として普通にまずい敵が数多く存在し、場所によってはそれらが数でゴリ押ししてくるのでもはや地獄です。
本作ではダークソウルに当たる侵入に該当する乱入が存在します。これは早い話強化されたモブが襲い掛かってくる訳なのですが、恐ろしい事に上記で書いたモブが引っ切り無しに襲い掛かってくる事が非常に多いので地獄その物となります。倒しても倒しても沸くその様は無限沸きかと思わされ、沸くにしても態勢を立て直す時間もなくノータイムで沸いて襲い掛かってくるので感じる理不尽さは超スピードでマックスになります。これらが上記のステージと重なるので、ここまで来るともはやうんこそのものです。
ボスも殆どが範囲攻撃だけでなく座標に対して攻撃を持っているので離れているから安心と言う事もなく、また距離を一気に詰めてくる攻撃も持っているのあらゆる距離で隙が無いと言う面白みのないボスが大変多い。
③ストーリー、登場人物に対して感情移入が出来ない。また、順序もおかしい。
ストーリーその物が面白くないのかと言うと、僕は世間で言われているほど酷い程の物だとは思いませんが、単純に感情移入が出来ないのです。
バディとして連れ歩けるNPCのみならず、拠点となる場所に居るNPCにはバックボーンがきちんと用意されている訳ですが、ろくにキャラの掘り下げがされていない状態で過去を見せられても一切興味を持てませんし、場合に寄っては微塵も知らないキャラの過去を見せられる事もあるためにやはり一切興味を持てません。幸いスキップできる事が多いのですが、重要な情報がそこで分かる場合もあるために気軽にスキップ出来ないのです。僕は問答無用でスキップしましたが。
本作のジャンルはドラマティック探索アクションRPGと銘打っているのでストーリーを見せたいのは分かりますがきちんと順序を踏まえて展開していかないと見る方は見る気が起きないを通り越して不快になりかねないと思うんですが……。
④劣悪なカメラワークとエフェクト周り。ロックの挙動も劣悪
これは本当に2019年に発売されたゲームなのか?と疑ってしまうほどに劣悪です。狭い場所だとカメラがプレイヤーに寄ってしまい、周りの視認が一気に難しくなります。分かりやすく言えば初期のモンスターハンターのようなカメラと言えばいいのでしょうか。
加えてエフェクトも大げさで上記のカメラに合わさって派手なエフェクトが重なるともはや何も視認できずプレイすらままなりません。テストプレイをしたのでしょうか。
一番致命的なのはダメージを受けて瀕死になると画面が白黒になり、視界が狭まる演出があり、瀕死にも関わらず一気に行動がとりにくくなる為、無駄に死亡のリスクが増します。ステージのデザインが劣悪なのに視界を狭めてくるのです。
幸いNPCのフォローが基本的に優秀ですが、このフォローがないと考えた場合どういう神経してんだと疑いたくなります。いや、あっても疑いたいですけど。
ロックの挙動もいまいち不可解で、手前の敵をロックしようと思ったら奥の敵をロックし、奥の敵をロックしようとしたら手前の敵をロックする……と3Dアクションゲームにも関わらず使い難い仕様となっています。これはカメラのセンターよりの敵をロックするのか、それとも一番近い距離の敵をロックするのかコンフィグで選べるようにすれば解決しそうですが、果たして。
これまた恐ろしい事に本作はロックしているとスティック入力より敵の方向へ向く事が優先されるっぽいので踏み込む攻撃をしてしまうと場所に寄ってはそのまま転落してしまいます。そう、これがロックしたい敵とは別の敵と起きてしまうのが多数なのでストレスがマッハです。
④周回プレイ前提のデザイン(追記)
これは賛否両論が分かれそうな話です。個人的に周回プレイで苦い思い出があるのは『ロックマンエグゼ4』です。これ、なにが苦しいのかと言うとエンディングはマルチエンドと言う訳でもなく収集要素の為に周回プレイを強制され、その上面倒なシステムに対して何の措置もない為、当時小学生ながら「これ作った人は何考えてこんなんにしたんだ?」と疑問に感じながらプレイしたのを覚えています。少なくともエグゼ4ではわざわざ周回させる必要性を感じなかったのです。
これが本作にどう関わるのかと言うと、エンディングの分岐にこの収集要素が関わっているからであり、PSNのオンラインストレージでの巻き戻しを使おうにもその分岐の理由が理由なだけに無意味でエンディングを全て見ようと思えば最低でも三周が前提になってしまいます。
周回の際に敵を強くしてニューゲームするかそのままの強さでニューゲームするか選べますが、先ほど散々書いた通りアクションゲームとしてストレスを溜める仕様ばかりの本作を何度もプレイするのははっきり言って修行レベルです。
まあ、気にしなければいいと言えばそれまでだし、我儘が過ぎると言えばそれも確かに事実なのですが……。
総評
決してクソゲーとは思いません。言うならば限りなくクソゲーに近いダメゲーだと思います。作中で明確に記されたゴッドイーターの世界との繋がりなど、世界観その物の広がりには素直に期待を持てますし、意欲作であることには違いありません。
ですが雑な各種調整、見せる順序のおかしいストーリーなど、開発側の独りよがりが過ぎて居てまるでプレイヤーがいる事、もっと悪い言い方をすれば人間がプレイすると言う事が頭に無いのかなと思わされる要素が多々ある為、やはり素晴らしい作品ではないと僕は断言します。
簡単に結論を述べるとするのであれば本作は現状ではオススメできるゲームではありません。値下がりが早そうなので、興味があるなぁって方は値下がりを待つのを強く推奨します。
追記
やはり救いのなかったエンディング
世の中、ありがたい事にゲームをプレイしなくてもインターネットで動画を見れてしまいます。僕は面倒臭すぎてインターネットで他のエンディングを見ました。
世界観的に何の問題もなしにハッピーエンドで終わる方が違和感あるのは大変御尤もなお話なのですが、どの結末に至っても犠牲を払うのは主人公かその伴侶であるイオの為、プレイヤーは意図しない犠牲を強いられるのでどうにもすっきりしない結末ばかりでした。